代表 塚田ひろみ インタビューVol.2【アートを通した対話】との出会い編

当NPO法人(以下ナゴマイ)で
代表を務める
塚田ひろみ(以下かんちゃん)が
ナゴマイ設立に至るまでの
道のりを辿りながら

かんちゃんの想いや人となりに
触れていこう、と
始まったインタビュー企画。

前回は第1回目で
ナゴマイ設立の
原点となる想いが生まれた時期でしたね。

幼稚園経営をする
親戚の話を聞く中で芽生えた
「幼稚園の先生たちのために何かしたい!」
という想い。

そこに
大学時代の自身の経験が重なって
『それぞれが自分らしさを
発揮できる組織づくり』を
目指すようになっていく…
という辺りを辿りながら

かんちゃんの
「そのままを捉えたい」という想いや
やると決めたらとことん進む人となりに
触れていきました。
(第1回の記事はこちら♪)

第2回は
【アートを通した対話】との出会い編。

この出会いはかんちゃんにとって
『自分のまま生きることの原点』
と位置づける程大切なもの。

ナゴマイでもアートを通して
それぞれの想いを
良い・悪い、正解・不正解なく
そのまま表現することを
大切にしています。

実際に企業の中に入って
組織の中で何を感じ
そこからどのように
【アートを通した対話】と
出会っていったのか、
覗いてみましょう(^^♪


言われたことをやる、で忙しく過ぎた入社一年目

電子機器メーカーの
法人営業として入社し、
半年以上に渡る研修の後に
各部署に配属になるものの

1年目は
仕事のノウハウを教わることも
ほとんどなかったそう。

かん:1年目は
言われたことをやる、
という感じでした。

上司が全部作った見積書や注文書を
「印刷して持って行って。」と言われて
そのとおりにやると
商談が進んでいく、という(笑)

自分が今何をしているのか分からなくて
混乱したのを覚えています。

提案書を作ることになった時も
誰かの作った提案書のコピーを渡されて
「とりあえず作って。」
と投げられた感じでした。

自分なりに
見よう見まねでやってみたものの
「これじゃあ結論がわからない。」
と一言。

漠然としていて
何が悪いのかも
どうしたらよいのかも
わかりませんでした。

こうして
仕事の流れや作法などは
わからないままに
忙しく1年目が過ぎていきます。

ようやく仕事のノウハウを教えてもらい、忙しくも充実した2年目

社会人2年目になって上司が代わり
ここで初めて(!)
仕事のノウハウを
知ることとなります。

かん:仕事のプロセスや
提案書はこういう風に作るんだよ、
っていうことを
まっさらな所から
教えてもらいました。

その時の衝撃といったら(笑)
「そうだったんだ!!」
っていうのがすごかった。

こうして
仕事のこともわかって
充実した毎日を送ります。

そんな忙しい中でも
同時進行で
自分のための勉強は
続けていたそうで。

かん:入社前に
「営業より向いてそう」
と思っていた

SEになるための勉強や

職場の先輩の影響で知った
中小企業診断士の
勉強をしていました。

でもどれもピンと来なくて。
今思えば
頭で考えて選んだことだったので

うまくいかなかったのかも。

昔から
直感的に決めたことの方が
うまくいくんです(笑)

個人への働きかけという形で続く組織づくりへの想い

ここでひとつ疑問が。

大学時代に興味を持ち、
邁進していた
組織づくりへの想いは
実際に会社員として働く中で
どう変化していったのでしょうか?

かん:この当時の意識は
組織づくり、というよりは

個人に向いていましたね。
自分にチームを作る権限がなかった、
というのもありますけど。

主に同性の後輩に
その都度タイミングで声をかけて
話を聞いたりしてました。

その子が前向きになれるように、
自分で仕事をしている感覚になれるように、
実力がついた先に次の未来を描けるように、
といったことを意識して
関わっていました。

自分が前に出て旗を振って、
というのは

全然考えていませんでした。

私と関わる中で
その人のスイッチが入って

そういう人がだんだん増えていって
全体が上昇していく、
というイメージでしたね。

積極的にチームを作って、
という事はなかったものの
それぞれがその人らしく働けるように、
という想いは
続いていたようですね。

信頼関係ができていると思った上司から言われた言葉に打ちひしがれる

ようやく
自分で仕事をしている、
という感覚も持てるようになり
上司との信頼関係も
出来てきたところで行われた
初めてのキャリア面談。

そこでの上司からの言葉に
強い衝撃を受けることになります。

かん:『3年先輩の○○みたいに
活躍してほしい。』と言われて

自分のキャリアを描きたい、
と思っていた私にとっては

寝耳に水でした。

とても良くしてくれていた
上司からの言葉だったので

余計に衝撃を受けました。

普段はほとんど怒りませんが
自分の人生を
誰かに決めつけられたような瞬間は

ついかっとなってしまいますね。
それは私にとって、
とても大切なことなので。

「私はこの会社で
長くキャリアを積むつもりは
ありません!!」

と明言したのを覚えています(笑)

『誰かのように活躍してほしい。』
と言われたら
何を感じますか?

かんちゃんと同じように
衝撃を受けますか?
それともすんなりと受け止めますか?

具体的な人を挙げて目標を示してくれて
むしろありがたい、と思う人も
いるかもしれません。
(私自身はそう思いました笑)

人によって言葉の受け止め方は
大きく異なりますよね。

そこにはその人が大切にしてきた
それまでの人生観が
大きく影響するように感じます。

かんちゃんの場合は
「自分の進む道は自分で決めたい」
という思いが
深く根底にあったので

「誰かに決められたくない!!」という
強い衝撃に繋がったのでしょうね。

ちなみに…
この時の上司の方は
その後もとてもお世話になったそうで
様々な場面で
かんちゃんの進む道を
応援してくれたそうです(*^^*)
ステキな関係ですね♪

ふらふらと立ち寄った本屋での運命的な出会い

信頼していた上司からの
思いがけない言葉に
強い反発を覚え
うちひしがれながらの帰り道。

立ち寄った本屋で
運命的な出会いが。

かん:六本木に職場があったのですが
その日の帰りにふと
「森美術館に寄って帰ろう。」と思って。
ふらふら歩いていたら
途中に青山ブックセンターがあって。

なんとなく
「寄ってみよう。」と思って入ったら

目に飛び込んできたのが
『まなざしの共有』という本。

「何の本だろう・・?」と
手に取ってみたら

対話型アート鑑賞の本でした。

【対話型アート鑑賞】とは
同じ場を共有する人達で
一緒にアートを見て
感じたことを
自由に出し合っていく、という
アート鑑賞の手法のことです。

かん:そこに書かれていたのは
自分がアート作品に対して
思ったこと、感じたことは

自由にありのままに表現しても良い
ということでした。

作者が誰なのか?
どんな時代に何を描いたのか?
タイトルは?
ということはもちろんのこと、
当時主流だったものや
新しく生まれ始めた表現手法なども
ここでは知らなくても良い、
ということでした。

「自分の思ったことを
こんなに自由に言っていいんだ…」って
驚きと共に
救いのようなものも感じました。

「どこで勉強できるんだろう…」と思って
すぐに調べたら

ちょうどその頃日本では何もなくって。

いつかやりたいけど、
どうしたらいいんだろう…」
って思っていたら

その3年後に友人から
体験会のようなものがあると聞いて。

実際に体験したら
やっぱり良くて。

そのすぐ後に
社会人ファシリテーター養成講座が始まる、
と聞いて

すぐに「よし、やるっ!」
ってなりました(笑)

対話型アート鑑賞は
直観的に「良いっ!!」と思ったものなので
勉強できる、となったら
迷いなしですね(笑)

こうして3年越しの願いが叶って
対話型アート鑑賞の
社会人ファシリテーター1期生となります。

その後も
ファシリテーターの仲間たちと
親戚の経営する幼稚園で
子供たちとの対話型鑑賞会を開催したり、と
活動を続けることになります。

実は、付かず離れずそばにあったアートの存在

打ちひしがれた心を救ってくれた
対話型アート鑑賞との出会い。

かんちゃんがアートの本に惹かれたのは
小さい頃から
アートと付かず離れずの関係だったことも
影響しているようで。

かん:表現することは
小さい頃から好きでした。

湖の色の絵をずっと描いてた記憶があるし
小学校の夏休みと言えば
旅行に行って絵葉書を買って
その絵はがきの風景を
自分でも描いていた思い出があります。

高校時代に一番仲の良かった友達が
高校入学前から『私は美大に行く!』
って決めてて。

その為にどんどん進んでいくのを
いいな…」って思っていました。

私も絵や表現は好きだったので
そういう選択肢も考えてみましたが
「なんか違う…私には同じことは
出来る気がしないなあ」って。

でも捨てきれない何かがあって。

大学を選ぶときも
国際政治が学べるところで
探していましたが

どこかでアートを学びたい自分がいて。

最終的にどちらも学べるところ、
と思って選択しました。

就職先を選ぶときも
アートに対してどの位投資してるのか、とか

社内にギャラリーを持っていることを調べて
「この会社いいなぁ」って思ったり。

ずっとアートは自分の中にありました。

小さい頃は
自身も描くことを素直に楽しみ
没頭していたアート。

その後は心の中にはありながらも
正面から向き合ってはいませんでした。

でも大切な時には
温かく包んでくれて
力強く支えてくれた。

やはりかんちゃんにとって
アートは特別なものなのでしょうね。


あとがき

第2回はここまで。
いかがでしたか?

企業の中で
自分らしいキャリアを
描けなかった体験や衝撃から
偶然(必然?)対話型アート鑑賞の本と出会い

時間を経て
ファシリテーターとなるまでを
見ていきました。

この企業での体験があったからこそ
『思ったことを言っていい』、という言葉が
心に深く染みわたっていったのでしょうね。

それぞれが自分の思いを大切にして
自分らしく生きていく、ということは
かんちゃんにとって大切なテーマ。

人に対しても「そうあってほしい」と
思うと同時に
自分自身も「そうありたい」と
強く願うもの。

キャリア面談で受けた衝撃は
そんなかんちゃんの思いの強さを
物語っているように思えます。

アートを見て何を感じるかは人それぞれで
そこに優劣や正解・不正解はありません。
たとえ、描いた本人の思いと違ったとしても
感じる心は自由なもの。

それをお互いに出し合って
そのまま受け止め合う、
そこから感じたことをまた出し合う、
という対話型アート鑑賞は
自分らしくいられる安心の場となって
かんちゃんを支えてくれたのでしょうね。

アートそのものについても
今後、更に思いを深めていくこととなりますが
それはまだまだ先になりますのでお楽しみに。

第3回は
アート鑑賞ファシリテーターに
出会うきっかけを作ってくれた
大切な人たちとの出会いと

そこから
原点である幼児教育に
回帰する辺りを見ていきましょう。

>こども・自然・アートと仲良くなれる NAGOMI MIND メールマガジン

こども・自然・アートと仲良くなれる NAGOMI MIND メールマガジン

自分にやさしく、子どもにやさしくなれるメッセージを毎月配信しています。
多様な視点をもって人や社会と関わること、子どもたちと過ごす時間が豊かになるメッセージなど。
イベントや最新記事などのお知らせもメルマガでいち早くお届けいたします。