昨年より、保育園等へアート講師を派遣する「和らぐアート」プロジェクトをスタートしました。
このプロジェクトの始まり
普段の保育では、人手が足りなかったり、材料が揃わなかったり、新しい活動を計画する難しさもある。
でも、本当は先生たちの心の中にある「良質な体験を子どもたちに」という想いを現実のものにできないだろうか。
そして、それが何か特別な1日だけの体験で終わるというよりも、保育園をはじめ、幼稚園やこども園などで過ごす、子どもたちの日常そのものが、輝きだすことへ繋げられないだろうか？
ということから、アート活動という特別な体験と、先生たちとの振り返りの時間をセットにして届ける事業として企画しました。
余裕のある、豊かな活動だからできること
派遣する講師は3名が基本です。どうしてそんなに人数が必要なの？と思われるかもしれませんが、子どもの瞬間瞬間の反応に応答するように、プログラムの内容を調整しながら進めることが、子どもが主体として、主役として楽しむために必要です。そのためには、とっさに環境を変えたり、違う材料を用意するサポートが必要になります。
訪問する多くの園さんでは普段から造形活動をしないわけではありません。むしろ、日常的に取り組んでいらっしゃるところが殆どです。それでも、和らぐアートの活動を目の当たりにした先生たちは「すごく何かを発散できている」「子どもたちが心から充実しているのがよくわかる」とお話ししてくださいます。
これだけの充実した活動を届けるためには、3人の外部講師が必要です。
先生たちの学びのために
講師を3人派遣するもう一つの理由は、普段保育をしている先生たちが、子どもたちをよく観察してもらうためです。
活動前に先生たちには「今日は、見守る保育でお願いします。手や口を出したくなるかもしれないけれど、なるべくそのまま見守ってください」とお願いしてスタートします。
そうすることで、先生たちには想像以上の学びが生まれていきます。これは、実際に先生をやってみなくては、きっと体感できないことですが、振り返りの時間を一緒に過ごすことで、先生たちから語られる言葉から、その一端を感じ取ることができます。
「いつも、そんなに積極的じゃないのに○○君どうしたの？」
「普段は、手助けをしてしまうけど、見守っていれば自分で問題を解消できるんだなと分かった。」
「あまり言葉での自己表現が得意じゃないお友だちのことを、『○○君は、こうなんだよ〜』ってみんなが助けてくれている姿を見て、改めて、本当に素敵な人間関係ができていることが分かった」
こうして、子どもたちの様子を客観視できるからこそ、子どものことを深く理解し、自分の保育を振り返り、子どもたちの成長・発達のために、何が最適なのか？を先生自身が学び直していきます。
それは、子どもたちの育ちのためにも、とても効果的なことです。
今年は、大人のための研修として
プロジェクトを進めていく中で感じた難しさの一つは、和らぐアートの時間も保育は続いており、すべての先生が活動を見たり、振り返りに参加できるわけではないということでした。そこに参加できるのは2名前後の先生に限られてしまいます。
職員会議で共有してくださった、というお話も伺いますが、やはりその場を見て体験しているか、していないかでは、同じような理解に到達するのは難しいということも、合わせて伺います。
また、表現する子どもの気持ちを理解すること、先生自身が楽しんで保育をするためにも、大人自身がまず、原体験としてアート表現を楽しむことが効果的ではないかという話も上がりました。
そうした経緯から、2025年は大人のための研修を事業として実施することに決めました。
協力園さんを募集しています
研修として、和らぐアートを開催してくださる協力園さんを3園募集しています。1日の研修として、アート活動を体験し、振り返りの時間や対話の時間を作っていきます。（引き続き、お子さんのアート活動と振り返り実践の参加園さんも募集しています）
その活動が、保育現場の同僚性を育てること、園として「こんな保育を実践したい」といった共通のビジョンにも繋がるような研修です。
今年度に限り、WAM助成プログラムとして活動いたしますので、職員研修としての講師料・材料費は当方が負担いたします。
昨年度の活動の詳しい様子は、活動記録をお見せしながら個別にご紹介が可能です。
お問い合わせは、当HPの「お問い合わせフォーム」よりお願いいたします。