前回のVol.4では、若干9歳で保育士を志したゆうちゃんが、どのような学生時代を過ごし、どのような体験を重ねてきたのか?
その、10代とは思えないようなぎゅぎゅっと濃密な社会体験のことを伺いました。(Vol.4はこちらから)
そして、天の声が「東京へ行きなはれ」と背中を押してくれたことで、大好きな徳島を離れることになったゆうちゃん。
今回のVol.5では、東京で保育士になり、現在ゆうちゃんの大切な事業となっている、ぎゅぎゅっとハッピー®が誕生するまでをたどっていきます。
―― 東京に出てきて、どうでしたか?
ゆうちゃん:東京って、おもしろい!!本当にいろんな人がいっぱいいて、なんだかどんどん自分の中の固定概念が壊れていくというか…
―― えー!もう充分ぶっ壊れているような気がしますけど、、まだあったんですか?固定概念。
ゆうちゃん:道行く人たちが、自分の好きな服を着て、いい意味でバラバラで、「生きてる」って感じがしました。
徳島での大学時代、僕は青が好き過ぎて、全身ブルーの服とかで登校していたんですけど、多分浮いていて(笑)。
でも、東京だったら浮かないかも。
あとは、職業も。
こんなふうに起業をするとか、フリーランスでお仕事をするとか、そういったことは概念として全くなかったですね。
自分の好きなことで、お仕事をしながら、お金という対価をいただいて生きていく”起業”という道があるんだっていうのも、発見と学びでした。
実は、もともと「東京へ」と思い立ったのは、保育士ももちろんしたいけれど、その先に「ダンスで誰かを笑顔にする活動をしてみたいな」っていうこともあったんです。
体操のお兄さんみたいな、しっかりとした役割ではなくても、もっと砕けた感じのスタイルでやってみたいなと思っていて。
でも、それを職業としてやっていくなら、東京に来て探すといいのかなって。冒険だぁ!!みたいな感じでした。自分のやりたいこと探しの冒険。
まずは、保育士として子どもたちと関わりながら、ただ踊って楽しいだけではなくて、どんなことができたら世の中のお役に立てるだろうか?お困りごとはどんなことなんだろうか?
そういったことを現場で働きながらみていきたいなって思っていました。
保育現場で働きながら、たどり着いたのは親子の関係についてでした。親子で触れ合いながら、ダンスを踊って、一緒に楽しい時間を過ごすイベントを定期開催する。そこから、大人同士のつながりも、子ども同士のつながりも作れる。
悩みもポロッと、打ち明けられるようなところ。
お家でも、職場でも、保育園でもない、サードプレイスみたいなものを、ダンスを通して楽しみに集まってくれる皆さんで作りたい。これだ!と思いました。
それで、、気がついたら当時勤めていた公立の保育園をやめて、私立の保育園で働いていました。
―― またしても、「気がついたら…」が発動したんですね!
ゆうちゃん:公立の保育園で働くということは、公務員として働くことでもあるので、やはり制約を気にせず自分自身の責任で活動できる場所がいいなと思いまして。
それから、「こういうことがやりたい!」って会う人会う人に話していたら、「じゃあ、うちの園で働いて、保育士として働きながら実現したら?園の場所も使っていいよ」という園長先生に出会ったんです。
そして、その方のもとで働きながら、夢を実現しようと。
―― では、保育士をしながら、ダンスイベントをする生活をしばらく続けられていたんですね。
ゆうちゃん:はい。
平日は保育士として働き、毎週ではなかったですが、土日はイベントを開催する。勤めている園での子育て支援企画のような形で開催させていただいたイベントもありました。
自分で企画をして、系列園に交渉して場所を貸してもらったり、広報の協力をしていただいたり。
企画から運営までを自分が主導して行っていく中で、もっともっとやりたいなって気持ちが湧いていくと同時に、周りの皆さんが「おもしろそう!」って言ってくださって、撮影の協力をしていただいたり。
ありがたいことに、ちょっとずつ仲間が増えていって。
そして、偶然のご縁なのですが、”保育ドリームプランプレゼンテーション(※)”という、保育者が自分の夢をプレゼンする舞台を見に行くことが出来まして。
※保育ドリームプランプレゼンテーション(保育ドリプラ)
保育者の方々が、「こんな保育園を作りたい!」「こんな社会にしていきたい!」 という保育への熱い想いや夢を語るプレゼンテーション大会。2015年から続いているイベント。
来年はもう、あそこで登壇する側になる!ってすぐに決めて、実行委員の人に「来年、出ます!」って話に行っていました。「来年、出たい」ではなくて(笑)。
実際に1年後に登壇することができて。
ありがたいことに、そこから仲間がぐわっとさらに増えて、自分が伝えていきたいメッセージや、「自己否定ではなく自分をやさしく抱きしめる思考へ転換したい」という、ぎゅぎゅとハッピー®︎につながっていくような構想にもたどり着けたんです。
そうしたら、今までやってきたダンスはあくまで1つのツールで、ダンスだけじゃなくて全然いいなって思えて。じゃあ、ぎゅぎゅっとハッピー®を伝えていける手段って他にどんなことがあるんだろう?って、色々考えるようになりました。
そしてまた、気がついたら私立の保育園をやめて、フリーになっていて。ベビーシッターをしたり、イベントをしたり…。
でも、一時はなにも仕事がなくて、日雇いバイトを日替わりでこなす時期もありました。グループホームでの介護のお仕事や、婚活パーティーのイベントの司会、更にいろんないろんな体験をして…。
そんな中で少しずつ社会のことも知って、徐々に保育の仕事が増えていく中で、大学での講演のお仕事をいただいたんです。
初めて、言葉を通して誰かに伝えたり、講演という形で誰かに寄り添うということにチャレンジした経験でした。そのとき、26歳でしたね。
26歳ってまだ大学を出てそんなに経っていないのに、そんな仕事が自分にできるんだろうか?って不安もあったし、良いのかな?って。
そのときに、友だちから言ってもらった言葉が「いや、その、ゆうちゃんだからこそ、伝えられることがあるんだよ」って。「ゆうちゃんにしか伝えられないことがあるんだよ」って。
年齢が近いからこそ素直に入ってくる部分があったり、共感できる部分があったり、それはゆうちゃんの強みだから、それを生かして何でもやってみたらいいじゃんって、背中を押してくれたんです。
「あぁ、ありがとう」って気持ちが湧いてきて、あとはもう、楽しむだけだなって、全力で講演をさせていただいたら、すごくありがたいことに好評をいただいて。実は今も続いているんです。5年間、続けてお仕事をいただいているんですが、学生さんたちって、こんなに悩んでるんだなってことを知るきっかけになりました。
いただく感想を読むだけでも、いろいろなプレッシャーを感じていたり、不安だったり、学生ならではの多感な時期だからこそ人間関係で悩んだり、人生のことを色々考えたり。
自分のできないところを責めたりするような、そういう姿を拝見して…
講演の中で、僕の言葉を通して、メッセージを届けていたら、
「すごい勇気をもらいました」「元気をもらえました」とか、「今の自分でいいんだと思いました」とか、そういう言葉がすぐに返ってきて…!!
そのとき、すごく嬉しくて!
言葉が届いたっていうことも嬉しいですが、自分の胸の内を打ち明けてくださったことが、とても有り難いっていう思いが湧きました。
そうやって、そのまんまの自分で誰かの力になれることがあるって思ったとき、もっと人の心に寄り添って、何かを伝えたり、一緒に考えていくようなことをやりたいなって。
それで、研修や講演というお仕事にたどり着いたんです。
―― なるほど。今のお仕事は、そういう紆余曲折があってなのですね。
ゆうちゃん:そうなんです。そこからダンスじゃなくても、ぎゅぎゅっとハッピー®っていう気持ちは伝えられるなって。手段は100万通りだって思って。
ご縁って不思議で、今度は保育園さんから研修のお仕事を初めていただいたんです。そのときも若干27歳。北海道からブログを見てくださって、お問い合わせをしてくださったんです。
大学での講演とは打って変わって、今度は自分よりも年上の方が多いという状況でのお仕事。やはり何が出来るんだろう?って考えるような状況にもなりましたが、そのときも友だちからもらった言葉を思い出して、自分だから出来ることをやろうって。
その保育園さん向けた研修コンテンツをつくって、お伝えしたら、とても喜んでくださって。そのときに、研修をもっともっとやっていきたいって、燃え上がるような気持ちになりました!
研修というお仕事でいいなと思ったのは、保育現場に自分がダンスをしにいく形で子どもたちと関わると、やはり関われる人数に限界があるんですよね。
でも、子どもたちと関わる先生たちの心のケアができて、保育者さんがさらに笑顔になっていったら、その保育者さん一人ひとりの先に子どもたちが20人、30人っているわけじゃないですか。
そう思ったら、その届くスピードや拡大の仕方って、断然影響力があるなって。それに、子どもたちが大切なのはもちろんですけど、大人たちの心のケアってとってもとっても大事だなって思ったので、改めて研修に力を入れようと決めました。
どうしたら自分の研修を広めていけるかな?って考えたとき、当時、個人事業主として活動していたんですが、保育園や幼稚園といった法人さんとお仕事をするなら、自分も法人として企業同士のやり取りをすることも1つの手段なのではないかって思ったんです。
その2ヶ月後、気がついたら会社を設立していて(笑)。
―― やはり、気がついたらなのですね(笑)
ゆうちゃん:今、なんで、登記所にいるんだろう?って。あれ?って(笑)。
その年のお正月なんかに思い浮かべていた、今年の目標にも、”会社設立”は一言も出てこなくて。ただ漠然と、もっと研修のお仕事を広げていきたいなって思っていたら、その年の6月に起業していました。
―― 本当に向かうべきところに向かっているときは、そういう流れになるんですよね。すごい。その時、28歳か、29歳くらいですか?
ゆうちゃん:2021年のことで、2年前なので、28歳でしたね。
―― ぎゅぎゅっとハッピー®研修、すごいスピードで広がっていますよね。気がついたら、国を超えて広がっているだろうな。
ゆうちゃん:そんな気がします!(笑)
何かやりたいと思ったときに「え、それはできないんじゃないかな?」って止めているのは、外の世界の誰でもなくて、自分自身だと思うんですよ。
誰と話すよりも、自分との対話、自己対話の時間が一番多いと思うので、ぎゅぎゅっとハッピー®は、その自己対話にアプローチしていきたいんです。
自分との対話が、自分に厳しいものだったり、「自分には何も出来るわけないよ!」っていうものではなくて…
「きっとできるよ」って、自分が自分を優しく応援していくことにつながって、「まず、やってみる」ってなれたら最高だなって思います。
最初からうまくいかないかもしれない、それもわからない。やってみてうまくいかなかったら、そこから学んじゃえば、もう次に活かせるし!なにも減るものないよって、そういうことを、言葉でも伝えたいですが、まずは自分のあり方で見せていくのが大事だと思うので、これからもチャレンジを続けたいなって思います!
Vol.6へつづく
保育士になるという夢、そこに寄り添うように存在していた「ダンスで何かを伝えたい」というゆうちゃんの思いからはじまった、様々な体験。
「気がついたら…」というアクションの流れの中で、必然的にチャンスと出会い、多くの気付きを得て、ぎゅぎゅっとハッピー®という研修のお仕事にたどり着いたことをお話してくださいました。
そして、大切な言葉と同時に、自分のあり方でも誰かの背中を押していけるような存在でありたいという、ゆうちゃん。次回はいよいよ最終回、ゆうちゃんのこれからのヴィジョン・展開のことを伺っていきたいと思います。
写真/文章:塚田 ひろみ
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