【NAGOMI MIND】代表 塚田ひろみ インタビュー 第3回 原点回帰編

当NPO法人(以下ナゴマイ)で代表を務める
塚田ひろみ(以下かんちゃん)が
ナゴマイ設立に至るまでの道のりを辿りながら
かんちゃんの想いや人となりに触れていこう、と
始まったインタビュー企画。

 

今回で3回目となるこの企画。
簡単にここまでの流れを
おさらいしておきましょう。

 

幼少期に見聞きしてきたことや
大学時代の自身の体験から
【それぞれが自分らしさを発揮しながら
働ける組織づくり】に
強い関心を持っていたかんちゃん。

 

自身も企業の中で
自分らしく働くことを目指しますが
信頼していた上司から
『活躍している誰かのようになってほしい』
と言われ、強い衝撃を受けます。

 

そんな時に偶然入った本屋で出会った
【対話型アート鑑賞】の本。
その中の『自分の思いはそのまま言っても良い』
という言葉に救われます。

 

もっと知りたい、と思って3年後
ようやく機会に恵まれ
対話型アート鑑賞のファシリテーターとなる、
というところまでを見てきました。
(これまでの記事はこちら→ 第1回 第2回

 

今回は【原点回帰編】。

 

対話型アート鑑賞と出会い、
ファシリテーターになるまでの間。
もう一つ、大切な出会いがありました。
対話型アート鑑賞に出会えたのも
実はこの出会いがあったからこそ。

 

この出会いによって
直接関係がない、と思っていた
大人の組織づくりと幼稚園がつながり
幼児教育と正面から向き合うこととなります。

 

そして、これまでの学びと
原点にあった幼稚園の先生への想いが繋がって
先生たちが豊かに学びながら働ける幼稚園を
目指すようになります。

 

幼い頃から幼稚園が身近にあったかんちゃんが
巡り巡って原点に回帰するまでの道のりを
覗いてみましょう♪

転職活動から再び関心は組織づくりへ

社会人3年目になって
急遽職場環境が変わって仕事が忙しくなり
終電で帰る日々が続いたかんちゃん。

転職を考え始めるようになります。

そして転職活動を行う中で
勧められた社会人大学院。
詳しく調べるうちに気になる人を見つけます。

 

『企業で働く大人の学びや成長』をテーマに
教育学の観点から
企業研修や組織開発などの研究をされていた
中原淳先生。

 

かんちゃんの勤める会社の企業研修についても
研究をされていました。

 

当時ワークショップ(以下WS)を
定期的に開催されていたので
仕事の後に継続して参加するようになります。

かん:今思えば先生がおっしゃる
「ダイアログ(対話)」「リフレクション(内省)」
というものに惹かれたのかな、と思います。

こうして中原先生と出会い
以前から興味のあった組織づくりについても
学びを深めていきます。

予定調和ではない世界の中に見出した楽しみや学び

そして中原先生を通じて
かんちゃんに大きな影響を与えることになる
上田信行先生と出会います。

 

上田先生は
日本でのWSの源流を作った一人で
当時
『どのような環境の中で人は学び
変化していくのか』を
様々なWSを通して研究していました。

 

かん:当時上田先生のことは知らなくて。
中原先生が奈良県の吉野で面白そうなイベントをする、
というのを聞いて
「中原先生に会いたい!」と
仕事そっちのけで
参加することにしました(笑)

 

参加者も主催者も(!)
何が起こるか予測不可能、
「予定調和をぶっ壊せ!」と
銘打ったこのイベント。

 

このイベントを通して
かんちゃんの考え方に変化が起こります。

 

かん:私はつい、
いつまでに終わらせる必要があるか?
それまでに必要な作業はなにか?

そういったことにばかり視点が向きがちです。
当時の私も、まさにそんな状況でした。

 

でも、このWSは
それだけでは成立しないものでした。

 

この吉野のイベント、色々怖かったんですよ。

何が怖いかと言うと、
そもそも、前日の夜集合して
明日の午前中にワークショップ始めます、
っていうこのスケジュールのタイトさ。
みんな初対面の人。
決められた手順・作り方なんて何にもないこと。

 

でも、「来たからには、何かやる。」
その場にいた人がそれぞれに
そういう想いで居たから
「なんだか良い形になったぞ」と思えました。

 

そんな即興性満載の
ちょっと怖い状況が楽しいと想えてくる。
楽しいと想いながら形にしていくと
良いものが出来上がる。

そのプロセスの中で
人は今の自分にない新しいものを
学んで行くのではないかな、と
このWSを通して体感しました。

 

決められた時間通りに
予想した正解の形を目指して、
ということを一旦脇において
誰かと一緒に
予測不可能な状況も楽しみながら活動をすると
自分の想像以上のものを作れる、ということを
体感したかんちゃん。

 

このWSから感じたことや、ここでの出会いが
幼児教育と真正面から向き合うきっかけと
なっていきます。

大切なのは『子供の頃の好奇心を持ち続けること』=【ライフロングキンダーガーデン】

その後もかんちゃんは
上田先生のWSに参加し続けます。
更に
吉野のイベントに参加した人たちとの交流も。

 

かん:吉野のイベントの後
『東京近郊の参加者で振り返りの会がある』
と聞いて。
「なんとなく楽しそう。」と
深く考えずに参加したら
インプロ(即興劇)の練習会みたいになってて
そのまま巻き込まれました(笑)

 

この「なんとなく」というのがミソなのでしょうね。
自分の直感のままに行動する。
そういう時に大切な出会いは転がっているようで

 

この時のつながりはその後も続き
その中のお一人が
対話型アート鑑賞につないでくれた人だったそうです。

 

そして、上田先生やこの方との出会いは
かんちゃんに新たな問いをもたらすこととなります。

 

かん:上田先生や
当時一緒に活動してくれていた友人が、
「こどものころの好奇心が、
おとなになってもずっと続いていけばいい」
という話をよくしていて。

 

その時に教えてくれたのが
ライフロングキンダーガーデン(生涯幼稚園)
という概念。

 

幼稚園の中で行なわれている学びのプロセスは
「想像して、つくって、遊んで、シェアして、
みんなで振り返って、もう一度想像から始める」
の繰り返し。

 

これは
研究者やビジネスで活躍してるような大人が
使ってる思考と同じで
幼稚園時代で終わるのではなく
ずっと続いていくものだよ、
という考え方なのですが、

 

この概念とWSでの体験が結びついて
自分がWSで置かれていた状況が
まさに子供が普段幼稚園の中で
やっていることなんじゃないか?って。

 

子どもたちは
決められたとおりに
手順通りに
生きているわけではない。

 

予定調和がない世界で
夢中で作って遊んで
お互いに意見を出し合いながら
また作って、を
繰り返している。

 

そして、そのような生き方だからこそ、
子どもたちの学びが最大化される、
ということが腑に落ちました。

 

だとすれば、自分も体験したように
おとなもこどもと同じようにすればいいんじゃないか?
と思って。

 

こうしてかんちゃんの中で
大人の好奇心を養うことと
幼稚園がつながります。

 

小さい頃から幼稚園が身近にあったかんちゃん。
探していた答えが
まさかこんなに近くにあったとは!
気づいた時の衝撃は
さぞ大きかったことでしょうね。

 

吉野でのイベントも
その後の振り返りの会で行っていたことも
まさにライフロングキンダーガーデン。

 

予測不可能な状況で
それぞれの頭の中にあるものを出し合って
コミュニケーションを取りながら
こねくり回して壊してまた作って…
そうやっていくうちに
どんどんクリエイティブになっていくし
仲間同士のつながりも強くなっていく。

 

幼稚園で子供達が遊びを通して行っていることは
こども時代で終わりではなく
大人になっても
自分自身や組織を成長させるのに大切なもの。
なんだかワクワクしてきますね♬

幼児教育を学ぶことと幼稚園経営に携わるために社会人大学生に

自らも体験し楽しく学ぶ中で
豊かな大人の学びや組織づくりにおいて
幼稚園の中で行われている
学びのプロセスが重要である、と
わかってきたかんちゃん。

 

そこから
かんちゃんの関心は幼児教育へ。

 

かん:幼稚園の中で何が行われているのか?
幼児教育はどういうことを目指して行われてるのか?、
っていうところに
大事なことが埋まってるんだって気がして。

 

「私のこれまでの学びの答えが
幼児教育にあったのか?!!」って
発見した感じでした。

 

実はこの頃すでに
【親戚の幼稚園を引き継ぐ】
と決めていたかんちゃん。

ですが
幼稚園教諭の資格を取ることは
二の足を踏んでいました。

かん:資格がなくても経営には関われるけど
何もわからないのは違うな、という想いはありました。
それに、伯母にも資格を取るよう言われていて。

でも、私の視点は
あくまでも【大人へのサポート】。
「経営に関わって先生たちが働きやすい環境を作りたい」
という想いからでした。

なので資格取得の必然性を感じられなくて。
もっと他に学ぶことがあるような気もしていました。

でも、この時に幼児教育のことは
しっかり理解していく必要性を感じたので
正面から学んでみようと決意が固まりました。

 

こうして
これまでの学びの答えを求める想いと
資格取得の必然性が重なって
社会人大学生となります。

 

ちなみにこの時の推薦状は
キャリア面談の時の上司の方が
快く書いてくれたそうですよ(笑)

【大人も子どもも豊かに学べる幼稚園】を求めて学ぶ日々

こうして幼児教育を学び始めたかんちゃんですが
この頃の関心の中心は
大人の学びから幼稚園の先生の学びに移っていたそうです。

 

元々抱いていた想いと
これまで学んできたこと、
更には実際に先生達のサポートを出来る立場になること。

 

全てが重なって行く中で自然と
関心の方向が変わっていったのでしょうね。

 

かん:幼稚園という場所を
そこにいる子供だけが学ぶのではなく
関わる先生たちも
学んで豊かになっていく場所にするには
どうしたらよいか、と思って。

 

そのためには先生自身も
ライフロングキンダーガーテンのように
学びのサイクルを持ち続ける、実践することが
大事だと思いました。

 

では、先生が実際の職場組織で、
学びのサイクルを持ち、実践するにはどうしたらよいか?
それが、私の新たなテーマになったわけです。

 

なので、2回目の大学での卒論のテーマは
『先生たちが自分も楽しく学びながら働き続けられる、
そういうチーム、組織を作るにはどうしたらいいか?』でした。
これはずーーっと続いてる私の探究テーマです。

 

このテーマは
ナゴマイにとっても大切な柱となる想い。

 

子供と共に学び成長する先生たちがいる幼稚園。
楽しくいきいきと働く大人に接しながら
子どもたちは何を感じ
そこからどんな成長をしていくのでしょうね(^^♪


あとがき

いかがでしたか?

上田先生たちとの出会いを通じて知った
ライフロングキンダーガーデンという概念。
そこから
これまでの学びと
ずっと身近にあった幼稚園が繋がって
幼児教育を学ぶに至り

 

関心の中心も
企業における組織づくりから
先生たちが豊かに学び続けられる幼稚園づくりへと
移っていくまでを見ていきました。

 

探していた答えが実はすぐそこにあった。
驚きやら喜びやらいろんな感情が入り混じって
大きな衝撃だったことでしょう。

 

保育者さんをサポートしたい、というのは
ナゴマイにとって大切な柱となる想い。
そこにいたるには
いろんな紆余曲折があったのですね。

 

ちなみに
中原先生と出会うきっかけとなった転職活動は
結局辞めて
元の仕事を続けながら
様々な勉強を同時進行で行っていたそうです。

 

その小柄な身体のどこに
そんなエネルギーをため込んでいるのか…と
思うくらい
様々なことを高い熱量で行うかんちゃん。

 

どんなに大変な時でも
未来の楽しみに意識を向けることが
かんちゃんにとって
心のバランスを保つことに繋がり、
支えとなっているのでしょう。

 

第4回は
当法人の名前にもある【NAGOMI】について。
和みのヨーガ創始者の
ガンダーリ松本さんとの出会いと
そこから
【まずは自分から幸せになること】の大切さに気づくまでを
お送りします。

 

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