【NAGOMI MIND】代表 塚田ひろみ インタビュー第5回(最終回) NAGOMI MIND設立までとこれから編

当NPO法人(以下ナゴマイ)で代表を務める
塚田ひろみ(以下かんちゃん)が
ナゴマイ設立に至るまでの道のりを辿りながら
かんちゃんの想いや人となりに触れていこう、と
始まったインタビュー企画も
第5回、最終回となりました。

「その人がその人らしくいられるように」
という想いを胸に
アートや組織づくり、幼児教育、和みのヨーガ・セラピー…といった
全くジャンルの違うものを探究し続けた道のり。

そこから見えてくるのは
自分の直観への強い信頼や
知りたい、と思ったことはとことん探究する姿勢、
打たれても打ちのめされず立ち上がってまた前に進むしなやかさ、
みんなが自分を大切にできる未来を描きたい、という
ひたむきな願いでした。

進み続けるうちに
よりしなやかに 軽やかになっていくかんちゃん。

最終回である第5回は
自分を幸せにすることの大切さに気づいたかんちゃんが
自分が幸せに活動できる場=ナゴマイを設立するに至るまでと
新たな気づき、これからへの想いをお届けしようと思います。


「お願いされてやる」という形で様々な活動に関わる日々

その後も大人の幸せ、先生の幸せのために
対話型アート鑑賞や和みのヨーガなど
自分の持てる手段で模索を続けていたかんちゃん。

第2子を出産し、半年ほどはのんびりと過ごしますが、
またすぐに、育休中にも様々なプロジェクトの話をいただく日々に。
当時勤めていた企業に復職もしますが、
時を待たずして独立。

その後は更に、色々なお仕事のお話をいただく流れの中に…

バレエや舞台芸術の新しいプロジェクトの立ち上げ、
対話型アート鑑賞教育の実験的な試み、
アーティストの方のクラウドファンディングを支援したりも。

特に、自分から仕事を取りに行きたいと思っていたわけでは無いのですが、
有り難いことに、自然と色々なお話をいただいていたそうです。

かん:その頃はとにかく
新しいことを立ち上げていくことが楽しかったので
緊急性は感じていませんでしたが
心のどこかでは
「お願いされてやる以外のものが必要」ということは
感じていました。

それが何故か、と今振り返ると、
私の中心と、そのプロジェクトの中心は
ぴったりと重なっているわけではない、
と気づいていたから、でしょうか。

色々な領域のプロジェクトを見る中で、
やっぱり私は「幼児教育」という
長年共にしてきた領域でやっていきたい、
という想いが強まっていった気がします。

様々な人の「これがやりたいんです」という想いを
じっくり聴きながらプロジェクトに携わる中で、
今度は自分が「私はこれがやりたいんです」と
そう語れる日が来るような気がしていました。

これまで培った学びや人脈が活きて
様々な領域のプロジェクトに関わる中で
気づくことができた自分の想い。

この時間もかんちゃんにとって
意味のあるものだったのでしょうね。

私の才能は土台を作ること

『自分のやりたいことを形にするならこの人と!』
様々なプロジェクトに声をかけられるのは
かんちゃんの才能である【土台を作ること】が
大きく関係しています。

かん:相手の「これをやりたい」という話をじっくり聴いてると
「あ、これなら立ち上がるな」っていう感覚が
不思議と掴めるんです。

そうした、見極めの部分に加えて、

スタートアップ限定ではありますが、
チームを形作っていく上で
最低限必要な事務的なことを手広く出来る、

ということもあって
必要としてもらえたのだと思います。

これは一緒にやっていく人にとってかなり心強い!
これまでの歩みで培った様々なものが活きていますね。

お願いされてやる以外の大事なことが顔を出す

そうして関わった様々なプロジェクトのうちのひとつが
和みのヨーガ創始者であるガンダーリ松本さん(以下ガンダーリさん)
を中心に行っていた
即興劇を使った自己表現や繋がりの場(以下RCT)を
ドキュメンタリー映画にして届けるプロジェクト。

かん:途中なかなか進んでいかず
再度気持ちをすり合わせた方が良いのでは、と
みんなで直接会って話すことになり、

一度原点に立ち返って
なぜ,ガンダーリさんがRCTをやろうと想ったのかを
聴いてみたら

『学校…どっちかというと幼稚園みたいな感じ?
外ではそれなりに厳しいこともあるけど、
ここでは安心して自分をそのまま出せる。
そんな場所をつくりたい!』という話が出てきて。

その時に自分の中にピンときたものがあったんです。

それは、もちろん「幼稚園」というキーワードもありますが、
「安心して自分をそのまま出せる」
その場所のコンセプトの方に、ではないかと思います。

『こどもがこどもらしくいることが尊重される場所』
これは、伯母の経営する幼稚園で
長年大事にしてきたことであり、
日本の幼児教育が大切にしてきたことの
一つでもあると思いますが、

「大人にもそういった場所が必要なんだよなぁ」、という
私が水面下であってもずっと意識してきたことを
思い出させてくれた瞬間でした。

RCTについて話したこの日の最後、
その場では、映画づくりというよりも、
まずはそうした場所をしっかり作ることから、
ということになり、

私と、今はナゴマイの副代表をしてくれている堀井さんの2人に
企画のベースづくりを一任していただきました。

大人のための『安心して自分を出せる場所』を作りたい、
という想い。
ここにきて表に顔を出してきましたね。

これまでも様々な場所で
おとながそれぞれの思いを大切にできるように、と
模索してきましたが
既存の場所を変えていく、ではなく
新たに外に作ってもいい。

これがナゴマイの構想の原点。
そこにこれまでの様々な想いや学びが
どのように関わっていくのでしょう?
ワクワクしますね(^^♪

自分の「やりたい」を許せた瞬間

やっと自分のやりたいことの本質に近づいてきた気もしますが、
すぐには元の企画であるRCTから離れることが出来なかったそうで。

かん:RCTの活動をサポートしながら
自分にとって大切な幼児教育を
どう組み合わせていくか?

最初はそんな風に考えていたので

幼稚園の中でこどもたちと
RCTのワークショップを楽しんだ後に、
保育者さんたちと
子どもたちの学びを振り返る時間を持つ、

RCTにとっても、先生と子どもたちにとっても良い形を
思い描いていました。

でも堀井さんが、一緒にやり取りをする中で

「先生たちの、キャリアとか心のケアももっと入れてもいいんじゃない?」
「だって、自分たち(私と堀井さん)がやりたいことやったほうがいいでしょ?」

って、言ってくれたんです。

そのとき、はじめて真正面から
「自分のやりたいことをやる、それに許可を出す」
ということがやれた、感覚としてつかめた
目の前が開けるって、こんな感覚なんだ、
っていう気持ちになったのを覚えています。

多分、この頃から
「なんだか楽しそう」
って言われることが増えました。

これまでも勿論
自分のやりたいことをやってきていたとは思いますが、
無自覚に周囲が望んだものを汲み取ろうという想いも
働いていたのかもしれません。

「本当はもっとこうしたいんだ!」という想いに
素直になることを許せたかんちゃん。

ここからナゴマイの構想が
むくむくと膨れ上がっていき、最終的には

アーティストのワークショップを届ける事で
幼児教育にもアーティストにも応援になる事をする。

保育者さんのキャリア継続につながる活動をする。

幼児教育や保育の世界の素敵なところを
もっと外の世界にも知ってもらって、
保育者さんが働きやすい環境を整える。

といった構想で法人を設立する事になります。

ちなみに現副代表の堀井さんとは
前職の営業時代に同じチームで働いていた時からの繋がりだそうで。

かん:偶然、私が営業用のかばんの中に
保育士試験のテキストを入れてたことがきっかけで
将来は幼児教育の世界で仕事をするつもりなんだ、
という話をしたら、何か堀井さんの中で
ピンときたものがあったみたいで…

その数カ月後に「私、会社やめる」って。
保育士とか小さな子どもたちのために仕事をしたいって、
私より先に会社を旅立っていかれました(笑)

私から見たら大先輩ですけど、
いつも感覚が若いなって尊敬しています。
いつも自分の感覚に正直に生きる人。
だから、ナゴマイでも同じ気持ちで、
一緒に進んでいけます。

堀井さんも、かんちゃんと出会って
自分のやりたかったことや本当は好きだったことを
思い出させてもらった一人。

お互いに良い影響を与えあって更に飛躍する二人。
ステキなコンビですね。

ナゴマイは私が幸せに活動できる場所

ナゴマイの構想を練る中で
堀井さんがもうひとつ提案してくれたのが
このプロジェクトを
<NPO法人>として立ち上げる、ということ。

かん:最初は全然ピンときてませんでした。

他にも選択肢なら色々あるし、
丁度その時期、周りのNPO法人の代表をしている人から
苦労話も聞くことが多かったので、
それを自分がやるのか……と。

でも今、本当にこれで良かったんだなって想っています。

幼児教育のフィールドで
「この人と一緒に活動したい」と想える人がいたとしても、

一緒に幼稚園を運営する、
しかも(伯母の幼稚園のある)福島県で、となると

そこまで全てを賭けるようにして
活動する人はそうそう居ないと思うんです。
それに、私もそれだけのものを
すぐに渡してあげられませんし。

でも、<NPO法人を神奈川県で立ち上げる>
であれば、みんな仕事を持ちながら
好きなときに、出来るタイミングで関わってもらうことができます。

ある時、そのことに気が付いて
「あれ!私が好きな場所で、好きな人と、好きな活動ができる?!
それって最高に幸せだ!」って想ったんです。

幼児教育の現場だけではなくて、
この法人自体も、安心して自分を出せる場所、
「ここに来たら、本職を離れて心許せる好きな人と深く対話できる」
そんなサード・プレイスになったらいいなとも考えています。

こうして、
想いを同じくする仲間と
無理なく一緒に活動できて
自分の思い描く未来を楽しく現実にしていく場所、
自分が幸せに活動できる場所である
NPO法人 NAGOMI MINDが立ち上がったのでした。

「先生達の心のケアを任せてもらえるようになりたい」と学び始めた心理学を通して、これまでの学びが一本に繋がる

NPO法人立ち上げの準備と並行して
以前から興味のあった心理学を
正面から学ぶことを決めたかんちゃん。

かん:思えばずっと心のことに興味があったんです。
和みのヨーガのインストラクターになったのも、
その先にある和みのセラピストの資格を取れば
先生たちの心のケアの仕事が出来るんじゃないか?』
と思ったのが大きくて。

勿論、そのときから大学院に進学して
臨床心理士や臨床発達心理士になる、
という選択肢も有りましたが、
私にとって「大学院」は、
当時すごくハードルが高くて
怖いことだったんです。

子育てをしながら修士論文まで書けるのか?という不安、
あとは、たくさん怒られそうとか…

でも、世間的にも認められた資格でないと、
幼稚園という場所での先生の心のケアは
なかなか任せてもらえなくて。

そこからちゃんと資格を取ろうと決めました。

ちょうど、以前は選択肢になかった心理職の国家資格
「公認心理師」制度が始まっていて、
カウンセラーとしても、フィールドワーカーとしても動く
という側面も、私らしいなって思いました。

全ては必然のタイミングでやってきますね。

こうして2022年4月から3回目の大学生となり
公認心理師の資格を取得すべく
心理学を学び始めたかんちゃん。

その中で気がついたことがあったそうで。

かん:心理学の中には
心身のケアや人間の発達のことだけでなく、
今まで学んできた組織のことも、芸術のことも、
これから取り組みたいコミュニティをつくることまで、
全部入っていたんです!
それまで学んで来たことを一本の線でつないでくれたのは
心理学でした。

一見ばらばらに感じるこれまで取り組んできたこと。
でも自分の直観は
「その人がその人らしくいられるようにするためには
これが必要だ!」と教えてくれていました。

その直観を信じて
それぞれをひたすらに学び続けたかんちゃん。

心理学でひとつに繋がったことで
自分の直観への信頼を更に増して
より自信をもって前へ進んでいけるのでしょうね。

ナゴマイにおける私の役割と、新たに気づいた「才能」の別の側面

念願の心理学とも向き合い
ナゴマイ代表として進みだしたかんちゃん。

ナゴマイにおける自身の役割について
お話を伺いました。

かん:私は代表として土台を作りながら
メンバーの中では心理学の専門家として
日常のセラピストのようになりたいと思って。

私と一緒に仕事を進めていくなかで、
視点が変わってきたり、自信が出てきたり、
時間をかけて継続していったものが、気が付いたら
「わぁ、すごいことできてるな」と
自分への信頼や自信になったら嬉しいです。

それに、みんなそれだけの才能を持っている人だって、
私は信頼しています。
だから、その信頼を本人に渡してあげたら、
あとはどんどん自走できるし、強いチームにもなれると思っています。

ここには、私の土台作りの才能の
別の側面が活かされている気がしました。

その人の才能を見出して現実化を後押しする、
その人が自分らしく輝くための『心の土台作り』。
これは幼児教育の役割とも似ていますよね。

ここまでの道のりの中で
自分の才能に気づいていき
自分の役割・使命を確信したかんちゃん。
そんなかんちゃんと一緒に仕事をする中で
メンバーの心の土台も培われて
それぞれが自分の才能を自覚しながら
やりたいことを形にしていくのでしょうね。

私が思うNAGOMI MINDのこれから

ナゴマイ設立までの道のりを辿りながら
かんちゃんの想いや人となりを見てきましたが
最後にかんちゃんが思い描くナゴマイのこれから、
どんな場所にしたいかについて伺いました。

かん:NAGOMI MINDは
【小さなこどもたちを想う大人のためのコミュニティ】に
なっていけたら、と思っています。

保育者さん同士が繋がり合って
お互いに支え、認め、学びあえる場を作ったり

多様な学びの場を提供することで
新たな視点に繋がったり
子供たちに届けていくものの価値や質を高められたらと。

子育て中の大人の方には
心とからだをゆるめたり対話をする場を作ることで
心に余裕を持てるようになり、

それが自分自身や子供たち、
保育者さんへの暖かなまなざしに繋がって
廻り廻って保育者さんが心に余裕をもって
子どもたちと大切に関わることにつながると思うんです。

加えて、ナゴマイには
こどもと直接関わる大人だけではなくて、
多様な人、多様な視点が加わってほしいと思っています。

ビジネスの世界の人
芸術家
学生さんや若い人たち
子育て経験者もそうでない人も

色々なバックグラウンドを持った人の視点が入ると、
たくさんの視点を重ねることが出来るので、
極端な思い込み、
専門業界ならではの偏り
そういったものに気が付いて
もっと自由に、他の選択肢を模索していくことが出来ます。

そうして、大人も多様なら
子どもも安心して多様な才能をみせてくれる、と思っています。

コミュニティの中で大事なのは、
【才能のアンバランスを尊敬を持って見つめること】。

人は何一つ欠けてなんかいない。
NAGOMI MINDではそう考えています。

何かに秀でているということは、
どこか別の能力を、そこに集中している。

もし、「何かが出来ない」ということを感じるなら
その分他のどこかに大きな才能が隠されている。

大人・子ども、肩書も関係なく、
その才能のアンバランスを尊敬して、輝かせて、
みんなでピカピカになる場所を作りたいなと思ってます。

保育者さんや親御さん、
更には多様な年齢・肩書の人まで
こどもを想うたくさんの人達が
繋がり合って学びを深めあう中で、
自分や互いへの理解を深めたり
才能を輝かせられるようになっていく。

みんなが安心して輝けるための土台作り。
かんちゃんの才能であり使命であり
ずっとやりたかったことがつまったナゴマイのこれからが
楽しみですね(^^♪

あとがき

全5回にわたってお送りしたロングインタビュー。
いかがでしたか?

辿った道はまっすぐではありませんが
想いはまっすぐ、常に前を向いて
進み続けていた様に思います。

そして何一つ無駄なものはなく、
それがあったからこそ
大切な出会いがあったり
自分の中に在った様々な感情と
向き合えたりしたのでしょうね。

自分の才能を発揮して
やりたいと思ったことを
仲間と共に楽しみながらやれている今は
とても生き生きと輝いて見えます。

そんなかんちゃんと
かんちゃんがこれまでの歩みや想いを形にしたナゴマイに
たくさんの人が出会って
それぞれが違いを認め合いながらお互いに磨き上げていける
暖かな場所を一緒に築いていけることを心から願っています。

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